| 1947年に始まった統一地方選挙は、今年4月で16回目、丁度60年になった。 還暦を迎えた選挙制度も、平成の大合併や、汚職問題などで辞職する首長もあって、選挙の期日は不揃いのまま「統一率」は3割を切ってしまったらしい。どうやら経費節減や投票率アップなどを目的に続けたこの選挙も見直さざるをえない様相である。 しかし、とにもかくにも今年は8日と22日の投票で統一地方選挙は終わった。
60年前、この選挙が始まった当初から有権者であった私は、近頃どうも関心が薄くなつたのか、無駄に見える選挙もあったりして、2〜3年に1回くらいは棄権しているかも知れない、と反省している。 先日の新聞にフランス大統領選挙の投票率が84.0%「日本では考えられない」という記事があった。本当に考えられないのか、と疑問に思いながら、都道県知事選挙結果をみると(別表投票率参照)、なるほど岩手の68.53%を最高に、最低は神奈川の47.04%で13都道県知事選拳は終わった。ちなみに、当日政令市広島では市長選挙があつて投票率は53.75%(前回44.94%)であった。 ------------------------MEMO 「日本では考えられない」と報道された仏大統領選挙には、確かにほとんどが追い付かないものであったが、この度の後期地方選挙では次のような高率の例もあった。)
高知県の場合は、核の処分雛町内に謝ることに対する是非を問うもので89.26%。
福島県の場合は、1967年以来連続10期無投票が続いていた村のことで96.59%
新潟県の場合は、少数激戦、定数8人に対し9人がが立候補、12年ぶりの選挙で有権者303人の村会議員選挙のこと99.34%であった。
以上これらは、いずれも争点が明確であり、有権者自らの関心と一票の重みが高い投票率の結果につながったものと思われる。 ------------------------MEMO
前述の仏大統領選挙が決選投票に持ち込まれたことは、周知のとおりであるが、この度のわが国統一地方選挙では、立候補者5人のうち1位の候補者の得票数が、今回の有効得票総数の4分の1に達せず、50日以内の再選挙になった例が宮城県の町にあつた。これは、投票率が低かったことが要因であろう。
4月中旬の新聞に北大大学院Y教授は、都知事選と広島市長選を比べおよそ対極に位置する、として無党派層とは何かを問うていた。まっとうに人権や平等を訴えても民主主義や人倫に反するメッセージでも、いずれも強力な磁場から出てきたものでなければ、普通の市民には届かない事態になっていて、言葉では通じにくくなっている現状を訴えながらも、しかし、言葉によって問題を論ずる以外には政治を良くしてゆく道はない。と論じていた。 私は、60年前初めて選挙演説というものに出会った、それは松本瀧蔵(別記)の演説だった。民主主義を懇切に解説したものであった。そして、民主主義は一歩誤ると自ら墓穴を掘ることがある。それは「衆愚政治」に成り果てることである。と説かれ、そのようなことにならないためには、有権者個人が誤った人権主義や平等主義に惑わされることなくシッカリ自立した個人の考えを持つことである。それが民主国家日本の将来を左右するものである。と聞いた。この文言は、今もなお脳裏に焼き付いて離れない。
今、憲法改正論議の高まるなかで、国民投票案の審議が始まろうとしている。これからが見ものであるが、日本の選挙、特にこの4月統一地方選挙などを眺める限り、このままでは「衆愚政治」の方向を辿つているのでは?と危惧する。 なかでも「投票率」の低迷は最も気になるところである。
------------------------MEMO 先の、統一選挙で、東京都では14人立候補した。当選者の得票は、有効票の51.6%だった。言い換えれば、落選した13人の得票数合計よりも石原氏の方が多かったというこどである。
一方、広島市長の秋葉氏は、47.25%の得票で、落選した3人の得票数合計より、少なかった。これはこの度の地方選拳には現職としては珍しい例であった。
ちなみに、神奈川では、投票率は低かったが、当選者の得票は、有効票の62.8%もあった。 ------------------------MEMO
------------------------MEMO 松本瀧蔵(1901〜1958)政治家・衆議院議員(1946〜1958)広島出身、明治大学・ハーバード大学院卒、明治大・日本女子大・フィリピン国立大の教授を歴任、1946年4月衆議院議員選挙に無所属で立候補当選。 外務政務次官、内閣官房副長官(2回)、サンフランシスコ講和条約会議、日・ソ国交回復交渉に参加。 1950年日本水泳チーム団長・1950年ヘルシンキオリンあピック本部役員などスポーツ振興にも貢献。 ------------------------MEMO |